夜明けを待って

昨日の夢の事と朱里の事だけが思い出される。


いつもの事なのに。


何故今日に限ってこんなに強く意識するのか。


目の前の男は上の空で笑うあたしを口説いてる。


でも、それは耳に届かない。


「ごめんなさいね、煙草を買いに出てきます。」


どうにもこうにも居づらくなって、札を掴んで店の外に出た。


花街の夜が本格的に始まったのか、街のあちこちに花と蝶がはびこっている。


ネオンがこうこうと輝いて、暗いはずの足元を明るく照らしている。


優輝は…あいつはもっと明るい所にいるのだろうか。