「今日、高橋さんお休み?」
体育の着替えを終え、階段を降りている私に美術の北村先生が声をかけてきた。
美人で面白くて、誰にでも気さくに話し掛けてくる生徒の間でも人気の先生だ。
「なんかお腹痛いらしくて」
私は答えた。
今朝は滅多に鳴らない私の携帯が震えた。
マリエからのメールだった。
「今日寝坊しちゃったから休むわ〜ごめんネ(oΣ+)」
女子高生らしい独特の文字使いで送られてきたマリエのメールに私は「わかった」とだけ返事を送り、今朝は登校してきた。
「ははーん、高橋の事だから、きっと体育が面倒だとかでしょ」
北村先生はニヤリと笑った。
私も苦笑いを浮かべる。
「最近よく一緒に行動してるのね」
階段を降りる私の歩幅に合わせて北村先生は私の隣を歩いた。
「まぁ、、成り行きで」
「そっか。あんまり我慢しないようにね。あいつわがままだから疲れるでしょ」
「先生がそんな事言っていいんですか?」
私は笑った。
「あいつら私の事先生と思ってないからね」
先生もそう言ってクスリと笑うと、職員室に向かって歩いていった。