「最近明るくなったね、麗華。」
そう言われて、私は自分の表情の変化に気付いた。
「そうかな?見た目しか変わってないと思うんだけど。」
悠紀は首を降った。
「だってあんた最近、早朝出勤しないじゃん」
考えてみればそうだ。
毎日誰よりも早く登校していた私が、今は1本遅い電車で通学している。
「よく見てるね、悠紀」
悠紀は笑った。
「私もそうだったから。」
私の生活は段々明るくなって行った。
ふと、私はある事を思い出した。
「ねぇ、悠紀。」
自分の席でノートの整理をしていた悠紀はこちらを振り返らずに言った。
「なにー?」
「悠紀さ。あたしの事嫌いだから一緒にいるの?」
悠紀はブッと吹き出して振り返った。
「なんでわざわざ嫌いな奴と一緒にいなきゃなんないんだよ。」
「だってさー、前言ってたじゃん。嫌いな奴から学ぶ事も多いって…。」
悠紀は笑いながら手を左右にふった。
「だからって常に嫌いな奴と行動してたら気が狂うっての。」
それだけ言うと悠紀はまた前をむいた。
悠紀は決して親友とか言わないけど、それでも嬉しかった。
口だけの軽い心友真友とかより、よっぽど大きなものだと思った。