それから私は少しずつ化粧をして学校に行くようになった。
悠紀の言った通り、初めは眉毛を整えるだけ。
それから1週間程たって、ビューラーも始めた。
そして少しずつ、マスカラ、チーク、リップと道具も増えて行った。
不思議と周りの反応もそんなに大きくなかった。
というよりかは、周りがそこまで私に感心がなかったからかもしれない。
気付いたのは、悠紀と母親ぐらいだろうか。
あと、北森優子が気付いたのは意外だった。
「最近可愛くなったね、麗華ちゃん。」
体育の授業の準備体操の時、優子の方から話し掛けてきた。
少し優子を見直した。
それは「可愛い」と言われたからではなく優子はきちんと人の顔を見ていたんだな、という自分でもよくわからない感心があったからだ。
化粧のおかげかさだかではないけど、少しずつクラスメイトと話す機会が増えて行った。