それから数分後、私は悠紀の手によって変身させられていた。
まだ見たいとごねる私を無視して卒業アルバムをしまった彼女は、その変わりに化粧道具と鏡を持ってきた。
始めに悠紀は私のまぶたに薄いラインを引いて、まつげをあげた。それからマスカラをぬって、頬にほんのり桜色のチークをのせた。
それから私に鏡を向けた。
「ね、これだけでだいぶ変わるでしょ?」
正直自分で自分を見て驚いた。
「すごーい、目が腫れぼったくない。」
それだけじゃない。チークのせいか、顔が明るく見える。
「それからあんた、眉毛整えなよ。」
「えっ、うん。」
私は初めて化粧というものを施された自分というものをしばらく鏡で眺めていたかったが、さすがにそれは気がひけるのでやめておいた。
「でもさ、いきなりあたしが化粧とかしだしたらみんな騒がない?あたしそれは嫌なんだけど。」
「そりゃいきなりフルメイクで来たらみんな焦るだろうよ。
徐々にでいいんだよ。初めは眉毛整えるだけ。
そっからだんだんビューラ−とかして、最終的にラインとかかな」
悠紀は笑った。
なるほどそれならいいかも、と私は頷いた。
こうして私は悠紀によってかえられた。