悠紀は床に本を広げる。
中学の卒業アルバムだった。
悠紀はぱらぱらとページをめくり、個人写真のページを開いた。
すると、アルバムを私のほうに向けて1人の少女を指差した。
「これ、あたし。」
「…悠紀、整形した?」
正直びっくりした。
化粧っ気がなく、死んだ魚の目をしている中学3年生当時の悠紀は決して美人といえるものではなかった。
「してねーよ。」
悠紀は笑った。
「でも!卒アルって映りが悪いもんじゃない?」
私がフォローを加えると、悠紀は一番後ろのページを開きそこに挟まった写真を見せた。
担任らしき太った中年男性の隣でピースしている悠紀は、やっぱり個人写真と同じ顔だった。
「……悠紀、変わったんだね。」
正直びっくりした。
悠紀は幼い時から今の悠紀だと思ってたから。
「変わったってゆうか、変えたってゆうの?世間でいう高校デビューってやつだね。」
悠紀はじぶんで自分を笑った。
「ほら、自信ついたでしょ。」
悠紀はニッと笑ったが、私は笑えなかった。
すると、悠紀はふと真顔になり、強い口調で言った。
「人間の考え方や固定概念なんて、法律や条例で簡単に改革されるもんじゃないんだよ。
世間が変えれないなら自分自身が変わるしかない。」