耳をつんざくような目覚まし時計の音で私は目をさました。

泣き叫ぶ時計を見つめたまましばらく硬直すると、
やがて重い体を持ち上げた。

洗面台の前に立ち、蛇口をひねる。

手のひらにたまった水たまりを顔にぶちまけると、肌をさすような冷たさに一瞬身震いした。

顔を持ち上げ鏡を見据えると、顎から水のしたたった私の顔がぼんやりと浮かんで見えた。

「はあ。」

朝起きたら突然、違う顔になってたらいいのに。

私は鏡を睨み付けた。

皮肉にも私は美人とはいえない。

思わず目をそむけてしまう程の不細工ではないが、
鏡を見る度にため息をついてしまうような顔だ。

腫れぼったい二重に、丸い鼻。

色の薄い唇に、丸みをおびた輪郭。

ただ唯一の自慢は、おばあちゃん譲りの色素の薄い白い肌。

しかしそれすらも、青春のシンボル、いわゆるニキビ達に台なしにされていた。
私の顔を作りあげてくれたこのパーツ達は、両親の悪い部分だけを見事に受け継いでくれた。

どうゆう訳か私の妹は、上手い事それ以外の父母自慢の顔パーツを受け継ぎ、小さな口につんとした鼻、切れ長の目を持った近所でも有名な美少女だった。

そんな妹と比べられ、哀れむような目を向けられながら育った私は結果コンプレックスの塊になってしまった。