「……思ったとおり、情けない顔をしているな」

低い声がした。

「!」

振り返る先に3つの影がそこにあった。


「兄貴!カノーに、カロンも!…なんでお前らがここに」


『仕事着』姿の3人を見て青年――ストークが怯む。

「あらん、『お前ら』なんて失礼ねぇん…ストークちゃん?」


真っ赤なルージュが笑みの形につり上がった。
鼻から上は黒鉄の冑に覆われているものの、その顔の輪郭や自信に満ちた口調から、かなりの美形であることが想像できた。

「私たちは大公様の命でここに来ているの、アンタにも同じ命が出てるわ」


カノーの声は揺るがない。

「感染源の特定、感染者の治療。…そしてそれがままならぬ時は――感染者を一人残らず排除」