「大丈夫か…?これ食べれる?」

青年――ストークはベッドに横たわる少女の看病をしていた。
ベッドの脇に膝をつき、少女の顔を覗き込む。
その仕草は王女に仕える騎士のように配慮に溢れたものだった。

…この男、全てが絵になる。

麗しい横顔も、今は眺めている場合では無かったが。


リゾットをスプーンで口まで運ぶと、少女は薄目をあけ、男の方を見た。

(瞳が黒い、この子はもう…)


「……死にたい…殺して…ぇ…」

わずかに開いた口からこぼすのは、そんな言葉。
調合した鎮痛剤のせいで意識が朦朧(もうろう)としている。

まばたきをする黒い瞳から、涙がポロリと溢れおちた。

痛みは薬で抑えているものの、身体はすでに自由が効かないようだった。


まだ、10歳ほどの女の子である。