「そっか、それで?アンタたちは死神じゃねぇのかよ」


「そうよん、坊やとおんなじねぇ」


カノーは艶やかな笑みを浮かべ、切れ長の目を煌めかせた。


さしてカノーには関心を寄せずオニキスがつぶやく。


「じゃあ仲間のよしみでアンタらには教えてやるよ……俺はオニキスじゃない、兄貴のジェイドの方さ」

どこか自分をあざけ笑うようにオニキス――いやジェイドは言い捨てた。


「‥‥どういうこと?」


いぶかしげにカノーが問いかえす、12歳には見えないこともないが…19歳の兄の年齢にはとてもみえない。


「俺は鉱山にトレディア目当てで深夜に忍びこんでた」


ぽつぽつとジェイドが語り始める。


「その頃はトレディアなんて呼ばれていなかったし、俺は魔石の持つ力を誤解していたんだ‥‥触れることで死神の力が薄れていくのを感じていたから‥‥てっきり石が吸いとってくれているものだと思っていた」



「‥‥薄れたと思っていた力は、弟オニキスに送られていたのですね」


「その通りさ。そのことに気づいた時、オニキスは喜んだ‥‥」