ランプの油がきれかかり皆の顔が陰る。
カロンがゴソゴソと布袋から丸い鉱石を取り出し、机の上にトンと置いた。
小さな手の平をかざすとランプの明かりよりも安定した光が、部屋を照らし出した。

「………我々にも分かるように説明してもらおうか」
ボルグが青年の背に問いかけた。
「この病にかかる前に、みんな同じ夢をみてる」
「夢?」
カノーが身を乗り出す。

「一人、暗い洞窟の中にいる夢……すると突然生き物の気配を感じ、首を絞められる」

青年が目を閉じる。

「…そこで初めて相手の顔が見える―――黒鉄の鎧を着た人間…」

「黒鉄の…?」
―――それはまるで

「…まるで、死神のような」

誰とも無くつぶやいた。

青年は頷く。


「…これは、病気ではなく――死神による呪阻」