◇◇◇
カチャカチャと食器がぶつかる音が響くキッチンには、栗色の髪の毛を斜めに結わえたすらっとした女。
「俺がやろうか?」
「いいわ。お茶いれてあっち行ってて」
「冷たいな〜」
千紗は樹を軽くあしらい、食器洗いを進める。別に、千紗は樹が嫌いというわけではない。むしろ、愛してる、と胸を張って言えるのだが。
樹には今春プロポーズをされた。しかし、立場上二人で手をつないでそこら辺をふらふら出来ないのが、最近の千紗の悩みである。(この二人の話は“生徒会長に任命します!以下略”を覗いていただけると助かる)
あと半年の我慢。そう思って千紗はネックレスにした婚約指輪に思いを馳せるのだ。
食器洗いを終えた千紗は、リビングのソファーで新聞に目を通す樹の隣に腰を下ろす。
「ねえ、どっか連れてって」
「え? 今さら駆け落ち?」
「別に、逃げる必要なんてないじゃない」
「じゃあ、俺を独り占めしたい、とか?」
目が合った瞬間笑い合い、樹からの軽いキス。この流れなら、最後まで持っていける!と確信した樹は千紗を押し倒した――のと同時に。
ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポン!!!!
激しいチャイムが鳴り響いた。

