「……かっ」
声が出たっ!!
「ばかっ! ヒロっちのばかっ!」
やっと声が出たと思ったら、それにつられて視界も歪む。
「誰でもいいわけないっ。何にも考えないでそんなこと言わないで!」
「考えてない? そんなわけないだろ!」
「絶対考えてないもんっ! ヒロっちはあたしじゃなくてもいいかもしれないけどっ。 あたしは!ヒロっちじゃなきゃ嫌なのっ!! ずっと、ずっと好きだったんだもん! ……ばかっ。ヒロっちの……ばかぁああっ」
「おまっ!」
真っ赤な目で眼鏡の奥の瞳を睨み付け、真っ暗な夜道に駆け出した。
おばけでも犬でも猫でも、今なら怖くない。もう知らない。ヒロっちなんて。
里美ちゃんのことで悩んで悩んで。ヒロっちのことが好きだからこそ、いっぱい考えたのに。
悩んだ挙げ句、ヒロっちには『お前は誰でもいいんだろ』なんて言われるし。
どうやったらそんなことになるんだろってくらい不思議で、ショックで、悲しかった。
走っても走ってもほっぺが乾かない。
……もしかして、あたしと別れたいのかな……?

