みどりちゃんの初恋


『とりあえず、そこに行く。近くに何が見えるんだ?』

「ぐすっ……ね、ねこが目の前にいる」

『……聞いた俺が馬鹿だった。とにかく、そこで止まってろ』

「むーりーっ」

 プツン、と。無理だって言ってるのにどうして電話切っちゃうのっ?!

 止まってろって言われたって、絶対絶対無理なのにっ。分かってるくせにどうしてそういうこと言うかなー。

「あーっ! あーっ!」

 とりあえず大きな声を出しておこう作戦!ほら、大きな声出しとけば、おばけとかおばけとかおばけとか跳ね返せそうじゃん?

 薄暗い道に響く自分の声にびっくりするときも、まあ、あるけどちょこちょこ歩いたり走ったり。

 ていうかぁー。総くんが意味分かんないけど走ってどっか行っちゃうんが悪いんじゃんっ!

「そーくーんっ! そーくーんっ!」

 やっぱり、総くんの面白いことって笑えないんですけど。

「……ねぇ、そ…くん……てばっ……。もう、意地悪しないでよ……怖い、よ……ひっくっ」

 お願いだから出てきて、そう言おうとしたとき、

「止まってろって言っただろ」

 予想すらしてなかった、大好きな人の声。