言葉とともに明るくなった視界には、やさしい微笑みを浮かべる総くん。
「そんなことできないでしょ、みーちゃんには。 そのくらい、みーちゃんはヒロが好きなんだよ」
だからね? と頭を撫でる総くんはあたしの目線に合わせて屈む。
「無口で無表情で冷たいヒロを好きになったのは、みーちゃんなんだよ。 みーちゃんだって、ヒロに『あの子としゃべらないで』って言えばいい。でも、言わないのはヒロがそういう類のものが嫌いだって知ってるから。 そうでしょ?」
「う、ん……」
「ヒロもヒロなりに里美の気持ちに気付いてる。ただ、里美とのキョリは一定に保てても、みーちゃんとのキョリはあいつにとって難しいんだろうね」
ははっと乾いた笑い声が色を濃くする校舎に跳ね返る。もうそろそろ7時かな。
「……どうして、難しい、の?」
しゃくり上げるあたしの頭を撫でながら総くんは「好きだからに決まってるだろ」
「今日ね。みーちゃんの様子が変だったことにヒロも気付いてたんだ。だから、ヒロはみーちゃんが気になって集中出来なくて今日の練習でヒロは僕に負けた。でも、ヒロはそのことに気付いてないみたい」

