みどりちゃんの初恋


 ヒロっちの前っていうのもあって結局断れず、あたしヒロっち里美ちゃん、と並んで帰ることに。

 やだな。って思うけど、ヒロっち何も言ってくれないし。……もしかして、ヒロっち――

「今日、私、全部勝ったんですよっ」

「そうか」

「頑張ったな、くらい言えないんですかあ。 あ!そういえば、卓也さん今日珍しく総平さんに負けたんですよね?」

「別にいいだろ」

「良くないんですぅ〜。 ……卓也さんにはいつも一番でいてほしいから」

「そんなこと無理に決まってる。俺だって人間だ。出来ないこともある」

「そこを澄ました顔でやってのけちゃうのが卓也さんでしょっ」

 ぱん。と乾いた軽い音。それは、里美ちゃんがヒロっちの肩を叩いた音。

 なんだか、あたしが邪魔者みたい。三人で歩いてるはずなのに、あたしとヒロっちの間には何かあるような、そんな感じ。

 少し歩くのが遅れれば、後ろ姿の二人が映る。

「――あ! あたし、生徒会室にお財布忘れちゃった。取りに行くから先に帰っててっ」

 嘘を吐いてあたしは逃げる。ここで逃げたらダメだって分かってるけど。

 今、ここにいるのが、つらい。