みどりちゃんの初恋


 それから、ハヤシっちも部活に行き、部活がないちぃはタツキさんと一緒に帰っていった。

 時刻は夕方の6時。7月なだけあって結構日が延び、外はまだ明るい。

 そろそろヒロっちの部活が終わるはず。終わったら、一緒に帰るんだから、手繋ぐでしょー。それに、デートの約束までしちゃったりしてっ。

 ……なーんて、できるわけない、か。

 出来て、あたしがヒロっちの制服の裾掴むぐらいだし。デートとか、知らなそう。

 とりあえず、一緒に帰れるだけ嬉しいことだもん。いっぱいいっぱい話――

 ――ガチャ

「あ! ヒロっちお疲れっ」

 少し疲れ気味のヒロっちはふっと、ほんの一瞬微笑みあたしの頭を撫でた。

「まだ待ってたのか」

 言葉とは裏腹になんだかくすぐったい声音に「うんっ」と笑い返せば「帰るぞ」と踵を返す。

 その大きな背中に一生懸命ついていけば、あっという間に玄関。

 上履きから履き変え、ヒロっちの制服の裾に手を伸ば――

「あ! 卓也さんっ」

 手を引っ込め、振り向いた先には、笑顔の里美ちゃんが駆け寄ってきた。

「途中までご一緒していいですか? みどり先輩?」