みどりちゃんの初恋


 じっとちぃを見つめれば一度視線を下にやってから、あたしを抱きしめた。

「……ばか」

 うっ。苦し……。

「タクがどれだけみどりのことが好きか知らないから、そんなことできるのよ」

 呆れ声のちぃは優しくあたしの頭を撫でた。そして「タクの気持ちを信じなさい」とただ一言言ってあたしから離れた。

 ヒロっちの気持ち……?

「……ねえ、ちぃ……」

 あたしがちぃを呼んだときには、もう携帯片手に生徒会準備室に入っていく後ろ姿だった。

「タクはさ、みどりちゃんのこと好きだと思うよ」

 不意に聞こえた声はハヤシっちのもの。優しくて柔らかくて、春みたいな声。

「でも……」

「この間、えっと……あ。球技大会の時、迷子になったみどりちゃんから泣きながら電話来たとき、すぐに探しに行ってた」

 ぽんぽんと頭を撫でるハヤシっちは、お兄ちゃんみたいに微笑んでる。

 「だからね、みどりちゃん」とハヤシっちはあたしの視線に合わせて、

「みどりちゃんがあの娘に負けるはずないよ。みどりちゃんがタクを好きなのと同じくらい、タクもみどりちゃんが好きなんだから、自信持って。ね?」

 にっと歯を見せて笑った。