みどりちゃんの初恋



 なにが大丈夫なの?総くんがついてれば里美ちゃんはヒロっちに触らないの?

 いやだよ。いやいや。

 こんな風に思う自分もあたしを呼んでくれないヒロっちもいや。

 すっと振り返った里美ちゃんは薄らと口元に笑みを浮かべた。はっとしたあたしはぎゅっと自分の胸元を掴んだの。

 あの子はどんな手を使っても、あたしからヒロっちを奪う気だ……。

「ひ、ヒロっちっ」

 必死に絞りだした声は震えていて、緊張で喉がからから。

 ヒロっちを見れなくて、俯いたあたしは「あのね」と小さく口を開く。

「……笠井?」

 足音が近づいて止まった。少しだけ見上げれば、不思議そうにあたしを見下ろすヒロっち。

「……きょ、今日なんだけどね?部活が終わるまで、ままま待っててもいい?」

「ああ。好きにしろ」

 悩まずに答えてくれるところがすき。

 「ありがとっ」と笑えば控えめな微笑みが返ってくることも。

 このままぎゅっと抱きしめられたい。抱きしめたい。それで『だいすき』って言って?

 そしたら、あたし、頑張れるから。