みどりちゃんの初恋


「……そーだよ。里美ちゃんだよ。 ――ごめん。あたし、もう体育館行かなきゃ。ちぃが待ってる」

 ヒロっちの胸を軽く押して立ち上がる。そのまま唇を噛み締めて、生徒会室を飛び出した。

 ちぃもハヤシっちも総くんもあたしだって。みんな名字で呼ぶくせに。

 どうしてよりによって里美ちゃんなの?確かに、中学から部活の後輩かもしれないけど。でもっ!

 “笠井みどりの対義語は森 里美”って言えちゃうくらい正反対でヒロっちを好きな女の子に、ヤキモチ妬かないわけないけど。

 こんな風に思うあたしは子どもなの?

 ヒロっちにみどりって呼んで?って頼めばいいのかなぁ……でも、そんなこと言ったら『何故?』って言われるよね。

 そしたら必然的に里美ちゃんの話になっちゃうし。『あいつはいいんだ』なんて言われたら、あたし……。

 泣いて泣いてヒロっちにヒドイこと言っちゃうかもしれない。そんなことしたら……嫌われちゃう。

 正々堂々胸を張って戦ってやる、なんて思ってたけど、実際ヒロっちの彼女としてあたしは――

「――え? ちょ、みーちゃん?」

 ――胸を張っちゃいけないくらい自信なんてないの