総くんの突拍子のない行動にぽかーんだったあたしはヒロっちの「カゲ!お前っ!」で現実に戻った。
「……ったく。お前もお前だ。ここで二人きりなるなんて……馬鹿だろ」
「だってぇ……総くんに相談してたんだもん」
「はあー、呆れた。馬鹿過ぎる」
ちらっと冷たい瞳であたしを見下す。
ズキンと痛みが走るあたしの心はそんなに強くない。だから、あたしは何も言えずに俯いた。
さっきは『俺のものだ』って言ってくれたのに、そうやってあたしに冷たくするのはどうしてなの?
総くんの前だけなの?ああいう風に言ってくれるのは……。だったらあたしは総くんといる。そうすればまた『俺のものだ』って言ってくれるんでしょ……?
「笠井……泣くな」
スカートを握る手に力が入る。誰の所為だと思ってるの?
「おい、どうした」とあたしの頭を撫でるヒロっちは今どう思ってるんだろ。
わあわあ泣くめんどくさい小さい女、とでも思ってるのかな?
嗚咽が漏れそうになって口を押さえたのとほぼ同時くらいに、あたしは。
ヒロっちの長い腕に包まれた。

