「そしたらちぃに看病してもらうもーんっ」
にっと笑ったあたしを見て、小さなため息を漏らしたちぃは「試合は?」と。
「圧勝圧勝。今のところ無敗のみどりちゃんは負け知らずっ」
「負け知らずもそれはそれで困るんじゃない?1回くらい負けなさいよ」
「いっやっだっねーっ。去年は先輩優先で大会出られなかったけど、今年は県大会で優勝するんだもん。それまでは負け知らずなんだか――」
―――バリーンッ!!
音がした方を見れば部室の窓が割れていて、運悪くその部室の中にいた男の子達の悲鳴が聞こえた。
「みどり!田川先生呼んできてっ」
「わっわかった!」
田川先生は養護教諭の先生だから、いつもなら保健室にいると思うんだけど……。 今日は土曜日だし、もしかしたらいないかも?
少しの不安を抱えつつもダッシュで保健室に向かう。
ガラガラとドアが滑る音に負けないくらいの大きな声で「田川先生っ」と叫びながら保健室に飛び込んだ。
すると田川先生は一瞬驚いた表情を見せてから、思い出したように「しーっ」と人差し指を口にくっつける。

