みどりちゃんの初恋


 今日は空手・剣道・バスケ・ソフトテニス・ソフトボール・サッカー等々、東中と北中の交流試合。

 大きな市の大会が近いとあって最後の夏に賭けるあたしたち3年はそりゃあもう必死。

 ハーフパンツにTシャツという格好のあたしは道場から体育館へと足を伸ばした。

 東中第一体育館――あたしが通うこの学校の体育館は割と大きい。その体育館の半分をバスケが使って、そのまた半分を剣道が使っている。

 入ってすぐが剣道でその奥がバスケ。入り口でぼけっと壁によりかかりながらすぐ近くの剣道の試合を見ていた。

 東中には河田くんっていう剣道部のわりにはかっこいい男がいる。その所為か、若干河田くん目当ての女の子が騒いでるけど。

 てか、面つけちゃったらどれがどれだか分かんないよね。

 一つ軽いため息をついた後、靴を履き替えて校庭に向かった。

「あつ……」

 体育館も蒸し暑かったけど、直射日光もプラスされちゃったらもう暑いの最上級だよね。

 タオル持ってくれば良かった、なんて後悔してる時にタイミングよく、あたしの頭にふわりといい香りのタオルが降ってきた。

「熱中症になったらどうするの?」

 頭に乗ったタオルを押さえながら顔を上げれば、にこりと微笑むちぃ。