ブレイク

俺はすぐに荷物をまとめると、リンの手を引き、家を出た。

「お兄ちゃん。
どこに行くの?」

「リン。
もうお兄ちゃん達、あの家には戻れないんだ。」

「どうして?
リン達のおうちだよ。」

「あそこにいると、また怖い奴らが来るんだ。
そんなの嫌だろ?」

「…うん。
リンやだ。」

「だから、リンとお兄ちゃん2人で暮らそう。
2人のおうち、探すんだ。」

「うん!!」


…そうして、たどり着いたのがこのスラム街だった。

あれから8年…。

俺は写真を手に取った。

父さんと母さんが笑いかけてくる。

「父さん、母さん。
俺、ちゃんとリン守るからな…。」

「お兄ちゃん。
お水汲んできたよ。
お米もう少しあるから外で炊こ。」

いつの間にかリンが戻ってきて、そう言った。

「ああ。
すぐ行くよ。」

そう答え、写真を元の位置に戻すと、リンを手伝うため外へと出た。