「なんか…楽しそうですね」


声のするほうを見ると、さっきステージで歌っていた女性がいた。


「あっ、あなたは…」


「さっきの聞いて頂けましたか?私もご一緒して宜しいですか?」


哲也は嬉しそうに自分の席を立つと、一つずれて二人の間に彼女を座らせた。


「いやぁ〜嬉しいな!あなたと飲めるなんて!俺、よく来てるんですよ!」


哲也のテンションは一気に上がった。


「そうなんですか…、いつもお二人で?」


「いや、俺はこの山下くんに連れられて初めて」


「そう…、どうですか?この店」


穏やかな表情で聞いてくる彼女に、思わず真奈美の姿を重ねてしまう。


真奈美より少し派手なだけで、表情も仕草も声も…あまりに似過ぎていた。


「青山さんもすごい気に入ってくれたんですよ!これからは二人で来ましょうね!青山さん!」


「あ、ああ…」


「そういえば…お名前はなんていうんですか?」


哲也は相変わらずの明るさで質問した。


「私?私の名前は陽子。お二人は…えっと…山下さんと青山さん…ねっ」


「おっ、一回で覚えてくれるなんて嬉しいなー!ね、青山さん!」


「あ、ああ…」


春人を見て、陽子はクスっと笑った。


「お二人はタイプが真逆なのね」


陽子の言葉に哲也も笑っていた。