春人が大学1年の夏のことだった。


長い長い夏休みに、小学生の頃から趣味で使っている一眼レフを持って旅行に出かけた。


カメラを持って一人旅をすることは、もうずっと前から決めていて

高校でのバイト代はそのために貯めていたようなものだ。


旅先には、行ったことのないのどかな田舎を選んだ。


ずっと撮りたいと思っていた、優しい、温かい写真が撮れるような気がしたからだ。