「おい…、待てよ。殺したなんて…うそだろ?」


真奈美の背中をさすりながら、顔を覗き込む。


「私が…私が…っ、しかも…拓磨くんまで同じ目に…っ」


「え?」


「私…ね、17のときに子供を産んだの。」


「うん…」


「私には元々、家族がいなくて…ずっとよくしてくれていたお兄さんがいたの」


「うん…」


「私に子供ができたって知ったら…彼はどこかへ行ってしまった…私は愛していたのに…」


真奈美は遠くを見つめるようにして、話していた。


「それで…産んだ子供を連れて、穏やかなこの場所に引っ越してきた。まぁ、荷物なんてほとんどなかったけど」


懐かしそうに微笑むと、話を続けた。


「周りの人たちは温かく私たちを迎えてくれた…女将さんは離れの部屋まで貸してくれた…」


「それで…拓磨とその子が友達だったんだね」


「そう。二人は歳も一緒ですごく仲がよかった。」


また真奈美の目にじわじわと涙が浮かんでくる。


「あの川で…遊んでるときに…ちょっと目を離した隙に…あの子は……くっ…」


「……真奈美さんっ…!」


春人は辛そうな真奈美を思わず強く抱きしめた。