「あ……、ごめん起こしちゃったな」


「ううん、お帰りなさい」


「ごめん、一人にして」


「えっ…?」


春人が真奈美の頬を拭うと、真奈美の目には涙が溜まり始めた。


「やだ…私…泣き寝入りしてた…」


見る見るうちに、涙は溢れ出した。


「私…ね…子供がいたの…」


「へっ?!」


思いがけない言葉に、春人は声が裏返ってしまった。


「5歳だった…」


「ご、5歳だった…ってことは…」


「今は…いない」


「そう…なのか…」


真奈美の表情は急に険しくなった。


「私が………私が……」


「………」


「殺した」


真奈美は辛そうに顔をしかめてうずくまった。