「拓磨…これって…」


中には、紙粘土にキレイに色づけされて、白い貝殻をたくさん埋め込んで作られた写真立てが入っていた。


「へへ、ばあちゃん誕生日おめでとう。心配ばっかりかけて…ごめんね」


「拓磨………ありがとう…よく出来てる…」


女将は涙目で言うと、そっと拓磨の髪を撫でた。


「写真は春人が撮ってくれたやつだよ!」


「ええ、よく撮れてる。春人くんも…ありがとう」


「いえ、とんでもないです!喜んでもらえて良かったな、拓磨!」


拓磨は笑顔で頷いた。


「でも…この貝殻…」


女将は写真立ての額に埋め込まれた白い貝殻を、優しくなでながら呟いた。


「へへ、ばあちゃんのために何か作ろうって決めてたんだ!」


「拓磨…ありがとう…ありがとう…」


拓磨の頭を抱き抱えるようにして、女将は涙を流していた。