君がいた風景

「じゃぁ、今日ももう少し…ここで休んでいきなよ」

春人はそう言って布団を整えた。


「ありがとう…」


「じゃぁ、俺は…拓磨の所にいるから…何かあれば言って」


春人が部屋を出ようとすると、真奈美は春人の袖を掴んだ。


「待って…」


「…どした…?」


「何も聞かないの…?」


「えっ…」


「さっき女将さんが言ってたこと…」


「聞いていいの?」


「………」


真奈美はためらった。


「無理に話そうとしなくてもいい。話そうって思ったときに話してくれればいいよ。だって…」


「だって…?」


「真奈美さん…すごく辛そうだ…。そんなときに辛い話なんて…しなくていい。」


「春人くん…」


「ただ…俺は…昨日も言ったけど、真奈美さんの力になりたい。頼りないかもしれないけど…はは…頼ってほしいなって思う…よ?」


真奈美の目には涙が浮かんでいる。


「ありがとう…昨日はひどいこと言ってごめんなさい…本当は嬉しかったの」

「えっ…」


「でも、昨日は本当に私どうかしてて…」


「そっか…、じゃぁいつでも俺を頼ってな!」


真奈美は笑顔で頷いた。


春人は真奈美の肩をポンと叩くと、部屋を出て行った。