君がいた風景

次の日、春人と真奈美は拓磨の様子を見に行った。


部屋に入ると、女将が心配そうに拓磨を見つめている。


「あら、いらっしゃったのね…」


「どうも…拓磨の具合はどうですか?」


「ええ…昨日の夜中から熱が…でもだいぶ良くなってきてますよ」


「そうですか…」


「女将さん…私のせいで申し訳ありません…」


真奈美は深々と頭を下げた。


「いえ…何があったのか分からないけど…、拓磨がこうして無事でいてくれるだけで…私は大丈夫よ」


「本当にごめんなさい…」


「あまり思いつめないで…あなただってツライこと思い出してしまったでしょう」


「…っ」


女将の言葉に真奈美はまた涙を浮かべた。


「お二人も風邪をひかないように、今日はゆっくり休んでくださいね」


「はい…じゃぁ、真奈美さん…行こう」


春人は、すっかり弱々しくなってしまった真奈美を抱き寄せて、部屋を出た。