君がいた風景

熱いお茶を入れていると、シャワーを済ませた真奈美が浴室から出てきた。


「お先にありがとう」


「いえ、お茶…良かったら飲んで下さい。もっと温まりますよ」


「うん…ありがとう」


春人もシャワーを済ませて部屋に戻ると、真奈美は窓の外を見つめながらお茶をすすっていた。


「あ、お茶…春人くんのもいれてあるから…」


「ああ、どうも…」


「あの…」
「あの…」


少しの沈黙の後、二人の声が重なった。


「ごめんなさい、春人くんからどうぞ」


「あ、いや…、あの…こんな天気だし、今日は泊まっていって下さい」


「え…」


「ほら…また外に出て冷えちゃったら…ね?体によくないし」


「うん…ありがとう。そうさせてもらいます」


「うん…」


「それで…あの…わ、わたしね………」


「うん…」


「拓磨くん…に…ひどいことしちゃったよね…」


真奈美の瞳はどんどんにじんでいった。