春人は、いつものようにカメラを持って部屋を出た。


「あっ、春人!!」

部屋を出るとすぐに、拓磨に会った。

拓磨は水色の布でくるんだものを大事そうに抱えていた。


「出来たよ!!」

嬉しそうに叫ぶと、春人にそれを渡した。


「どれどれ…」

慎重に、そっと水色の布を取ると、春人は思わず目を丸くした。


「こ、これ…お前が作ったのか?」


「うん、変…かな…?」

拓磨は不安そうな顔で聞いた。


「いや、すげぇよ!!よく出来てる!!拓磨、女将さん喜ぶぞ!!」


「ほ、ほんと?!」


拓磨は春人の反応に涙目になりながら喜んだ。


「じゃぁ、渡しに行こうか!!」

春人が勢いよく歩き出すと拓磨が慌てて春人の腕を掴んだ。

「待って!!まだ渡さないよ!!」

「え?」

「明日…ばあちゃんの誕生日なんだ。だから明日渡すね!」

「そっか…きっと喜んでくれるよ。拓磨、よく頑張ったな!」

そう言って春人は拓磨の頭をくしゃくしゃっとなでた。

「うん!!春人のおかげだよ!サンキュウな!」


拓磨はまた大事そうに水色の布で包むと、元気よく走っていった。