いつもの教室で美華先生をひたすら、待ちつづける。

ガラガラガラ〜

やっと、扉がひらかれた。


美華先生は黒のワンピースに黒のおしゃれなブーツを履いてあらわれた。


さっき見た時より、化粧もバッチリで、綺麗で女っぽい。


『みなさ〜ん、ど〜も、美華で〜す。今からは、私、美華の担当の、お客様への挨拶、および、ラッピングなどをお勉強しましょうね』


美華先生の視線は、あやか、さやかに釘づけである。多分おんなじ匂いがするからだと、思われるが…?


『みなさん、わかりましたぁ?わかった人、可愛く、小さく手をあげてぇ〜』


普通、元気よく、大きく手をあげて…だろ!?


『じゃあ、今から、美華が挨拶の見本を見せるから、みなさんも美華に続いて、言ってねぇ〜』


『いらっしゃいまっせぇ〜』

『みんな、首を少し、右に傾けて、少し左の小指をたてて、それで、いらっしゃいまっせぇ〜』


ぬ!?そんな挨拶あるかぁ?

伝統ある、ХХ百貨店ってそんな挨拶してたぁ!?


美華先生が自信ありありで、みんなにいいはらった。

『あのねぇ〜この挨拶で、男性のお客様が増えたって、美華、上層部からきいてるからぁ〜ぜひぜひ、やってちょうだいねぇ〜』


『じゃあ、いくわよ〜はい、いらっしゃいまっせぇ〜』


『ムーンさん、もっと色っぽく、小指をたてて、できないのかしらん!?』


『まぁ、あやかさんとさやかさん、完璧だわ〜そうそう、上目遣いでねっ』


そりゃあ、この二人の得意分野だからね!!


『あら〜上田とみ子さん、なかなか上手だわ〜』


とみ子、案外うまいなぁ。
しかし、本当にこんな挨拶でお客様、怒らないのかぁ?


疑問…。


美華先生、ウキウキして、輝いてるよぉ〜


体、右に少しかたむけて…

左の小指たてて…


上目遣い…



体がかたいから、この体制、筋肉痛になりそう。