「何なんだ、この部屋はっ!」

あたしは母子手帳を手に持ったまま、大きな声をあげた

「え? 見てわからない?
子ども部屋よ」

フリフリのレースがついたワンピースを着ているお母さんが、けろっとした顔で言葉を放つ

「違う!」

「違わないわよ
こっちは男の子だった場合
あっちが女の子だった場合
双子でもいいわよ…あ、でも検診で一人だったのよね?
…てことは、男女どっちかでしょ?
だからどっちでもいいように準備をしたのぉ」

お母さんが満足げにほほ笑んだ

「まだ四か月だ!
早過ぎるだろっ」

「遅いよりはいいわよ
海外で、高級品を手に入れたのよ
さっそく親になるあんたたちに見せたいって思うのが、私らしい優しさよ」

お母さんが、両手を組んでクネクネと腰を動かした

褒めて…と言わんばかりの輝かしい笑みが、私には憎らしく見えてくる

「ありがとうございます」

私服の元が、嬉しそうにほほ笑んでお母さんにお辞儀をした

「嬉しいのか?」

私は元の顔を見る

「嬉しいだろ」

「これのどこが、嬉しいんだ!」

メルヘンちっくで、全くもって落ち着きのない部屋のどこが…嬉しい

お母さんの趣味全開で集められた幼児グッズのどこが、ありがたいと思える?