幸いにも、2階の廊下には
誰もいない。
207号室の前で
あたしは止まった。
仲氏がいる部屋。
ドアをノックしようと
手を伸ばした。
「ガチャッ」
急にドアが開いた。
「!!?」
あたしはかなりビックリして
少し、後ずさりした。
「・・・やっと来た」
中から平山くんが出てきた。
「び、ビックリした・・・」
あたしは小さな声でそう言った。
「仲氏、美羽の友達が来た」
あえてあたしの名前を
言わなかったのは、
きっと、
溝口に知られないため。
「・・・遅い」
仲氏が無表情で出てきた。
「・・・・・・」
あたしは何も言えなかった。

