【中編】彼女の嘘

「遼」


私は、ドアを開けてくれた彼方に抱きついた。


そんな私の頭を優しく撫でてくれた。


私が言葉にしなくてもなんとなくわかるのだろう。


何も聞かずに抱きしめてくれてる。


「彼方、ありがとう。」


私は、そういうとゆっくり離れた。


「遼、大丈夫だから。」


私と彼方は、家の中に入った。


もう過去を決別しよう。


私は、昔の私に戻るんだ。


素直で純粋に好きな人を愛してた頃に。


疾風に恋をした頃に。


「遼、好きだよ。」


「ありがとう。私も好きだよ。」


私と彼方は、こうやって自分の存在を確認する。


この言葉がないと私と彼方は消えそうで。


自然と言うようになった。