「レイリード君にイヴァンナ囚を任せたのは、
最初は彼女の恋人になってもらいたいと思っての人選だったんだよ。
もちろん“治療”の上での恋人だがね。
今からでも遅くはあるまい。俳優になったつもりでイヴァンナ囚を愛する恋人を演じてみるのはどうだろうか」


このオヤジ…
レイリードはムカムカした感情が腹の奥底でグツグツと煮えたぎっているのを感じた。


「私情は仕事に持ち込まない・・・今さっき上官がおっしゃったことですよ。特別な感情を対象に抱くのはご法度でしょう。
矛盾してますよ」


「何も君がイヴァンナ囚を好きになる必要はない。
飽くまでも演じるのだよ」


上官はニヤリと笑って見せた。


「なにも君の日常全てイヴァンナ囚にささげろと言っているんじゃないよ。
この監獄の限られた世界でだけさ。
レイリード君」