イメージという極めて信用性の低い主観で仕事を決めてしまったのが、学歴、人物共に完璧とも言える人生を送ってきたレイリードの唯一の選択間違いだったのかもしれない。
「まぁ、お茶でも飲んで話そうか」


上官は自分のカウンセリング室で自分の家のようにまったりとくつろいでいる。

心の中でため息をはきながらレイリードは上官の手前、出されたお茶を啜る。



上官はいつも、
無邪気な眼差しを持っている。

少しだらしない制服。

仕事は適度に手を抜き、
人間関係にも適度に手を抜き、

飄々とした捉え処のない物言い。



なんだかレイリードが思っていた上官像とは違うのである。



「あ―、上官。
自分は、まだ個別の囚人を受け持つには早すぎるような気がします。
出来ないわけじゃないんですが、
今回は相手が悪かったというか」



「そうかね」



責めるでもなく
諌めるでもなく・・・




子供が興味を持ったものに向けるような眼差しにさらされ、
のほほんとした空気の中に包まれ…


「やれないことはないのなら、
是非ともレイリード君に専任してもらいたいなぁ」