目の前に日本列島があった。 あった、というのはおかしい気がするが、あるものはあるのだ。 「ちっちぇえな、これ縮尺いくつよ?」 答える者はもちろんいない。 自室だから、当然といえばそれまでだ。 精巧に出来た縮尺日本列島が、突然、前触れなくドアを開けた先の自室にあったのだ。 どうするか。 「……割ってみたい」 理由はない。 ただ単に、思いつきに過ぎなかった。 思い切り飛んだ。 思い切り踏んだ。 ──バキッ。 いい音がした。 そして、地面も割れた。 「え?」 25,割れた【エンド】