わたしは驚いていた。


「凄いね君、こんな特技があったのか」
「部長、持ち上げ過ぎですよ」
「いやいや、本当に凄い」


正直わたしは、彼を少し甘く見ていたようだ。
まさに目から鱗。

と、思っていたら。

ぽろっと、本当に鱗が出た。


「……凄いな」
「ぶ、部長?大丈夫ですか?」
「鱗が出たよ」


驚く彼に、はははと笑ってみせる。
よほど感嘆したのか、わたしの鱗は止まらない。
ぽろぽろぽろぽろ、次から次へと出てくる始末だ。


「困ったな、止まらない」
「部長、病院に行った方が……」
「うーむ……あ、」


何かが出る、鱗の元となる何かが。
そんな気がして目元に手をやったなら、ごろっと、わたしの目玉が飛び出した。



10,目から鱗【エンド】