突然の結婚

「お前と結婚？あり得ないな。昔からさも自分が婚約者みたいな顔しててウザかったんだよ！お前みたいなやつ取引先の娘だからわがままに付き合っただけだ」


「なっ…」


恭子はセツナにこんなこと言われると思ってもみなかったという顔だった。それでも気をとりなおして


「あたしにそんなこと言っていいと思ってるの！お父様に言いつけるわよ」


「お前は幾つだよ」


セツナは恭子を嘲笑うかのようにいった。


「勘違いするなよ。取引を停止して困るのはうちじゃない。お前の父親の会社だ」


そうして今までで一番ドスのきいたこえで


「二度と俺と彼女の前に現れるな」


と言った。


そうすると恭子は震えながら去って行った。


セツナは私のほうに向かって来るとさっきとは全く違うよいつもの優しい顔と声で


「ごめんね。嫌な思いさせちゃったね…もう大丈夫だから泣かないで」


その言葉で私は涙を流していることを知った。


セツナは辛そうな顔で茜の目元にキスをして何回もごめんねと言ってくれた。


だから私は「セツナは悪くないよ」


と笑って言った。


そうしたらセツナも少し笑ってくれた。