カラン…


「いらっしゃいま…。」


私は久々にキャンティの扉をたたいた。


相変わらず甘いマスクのマスターは、驚いたように目を大きく見開き私を見みつめた。


「マスター、今日はこの子を返しに来たの。」


「バ。」


私はポテチをマスターに突っ返した。


「この子がいると気が散るのよ。だから返すわ。」


私が言うと、マスターは


「まだダイエットをされてるんですか?」


と言った。


「ええ。もちろん。
だって綺麗になるって決めたんだもの。私。」


「そう…ですか…。」


「コーヒーくれる?苦いやつ。」


「はい…。」



私は少々イラ立った。


久しぶりにこの店に顔を出したのに、マスターのこの渋い表情はなによ。


私は出されたコーヒーをガバッと口に運んだ。