「ねぇ、おじちゃん。」


ある日、可奈は言った。


「なんだい?」


「可奈ね、今度手術するの。」


「え?」


「手術するとね、可奈の目、見えるようになるんだって。」


俺は、


俺の中で何かがパンっと弾けるのを聞いた。


「ふふふ。可奈ちゃん、目が見えるようになったら何がしたい?」


可奈の食事の用意をしていた看護士の福原さんが可奈に聞いた。


「ん〜、パパに会いたい。」


可奈は少し首をかしげてそう言った。


「そ、そうね。早くパパお迎えに来てくれるといいわね。」


福原さんの顔色が変わった。


「さ、食事にしましょう。」


慌てたように食事の準備をすると、彼女はそそくさと病室を出て行った。


俺はその態度が気になり、福原さんの後を追い病室を出た。