カラン…


「いらっしゃいませ。」


扉を開けると、オレンジ色の薄暗い店の照明が俺を照らした。
店内に客はなく、マスターが1人、静かなジャズの音色とともにたたずんでいた。


「どうぞ、こちらへ。」


マスターは俺をカウンターに案内する。


俺は言われるがままにカウンターに腰を掛け


「ウィスキーをくれ。あと、何か腹の足しになる物。」


と言った。


「かしこまりました。」


マスターは俺に背を向け、準備を始めた。