「お姉ちゃん、あそこ見てくるからここで待ってて~」



奈々子の明るい声が俺の耳に残る。



(いたっ!)



俺は、急いで彼女たちの元へ足を向ける。



「愛子っさ…んっはっはぁっ…はぁ」



俺は息も切れ切れに彼女に近寄る。



「あれ?了くん?どうしたの!そんなに汗だくになって…」



俺は、彼女に持っていた紙袋を渡す。



「っはぁはぁっ…コレっ」



息を整えながら、俺は彼女の様子を窺う。



いきなり、俺から渡された紙袋に驚きながらも彼女はその袋を受け取り、そっと中を確かめる。



「…………」



彼女は、無言のまま中のそれを確認する。



「愛子さんっはぁ…はぁ…兄貴が待ってますよ」



俺の言葉を聞いて彼女は、走りだした。



「えっお姉ちゃん?!」



店から出てきた奈々子の声も彼女には、届かない。



冷たい風を切って彼女は、走りだした。