奈々子と別れ、俺はまたさっき通った道を折り返す。



(愛子さん、居るのかな・・・?)



俺は、手をこすり合わせながら公園に向かう。



(あっ・・・・)



俺の目に入ってきたのは、ベンチに腰掛けながら本を読む愛子さんの姿。



時々、時計に目をやりながらやっぱり彼女は、誰かを待ってるみたいだ。



俺は、ぎゅっと手を握りしめ、愛子さんに近づく。



俺の足音に気付いた彼女が本から視線を俺に移す。



「あっこんにちわ。了くん」



「こんにちわ」



(俺の名前、ちゃんと覚えててくれてた)



昨日、話したばかりの少年の名前をちゃんと覚えていてくれた事に俺は、とても嬉しくなった。