<季節>サンタクロースの願い事

「なんか凄いな、お前の姉ちゃん。」



俺の言葉に友達は、ははっと苦笑い。



「そうなんだよ~、姉ちゃんにはいつも頭上がんなくてさ・・・。



了は、いいよな~一人っ子だもんな。」



「あっ・・あぁ」



友達の一人っ子という言葉に胸がズキっと痛む。



(なんだ・・・?



こんな事、今まで15年間言われ慣れてきた言葉なのにな)



それでも、笑顔で答える俺の視線の先に



あの人がいた。



(あっ!あの人・・・この高校だったんだ)



俺の瞳に映る、彼女は綺麗に笑っていた。



友達らしき人と言葉を交わしながら



校門から出て行こうとしている。



(追いかけなきゃ!)



なぜだか考えるよりも先に体が動いていた。



「あっおい!了?!」



いきなり走り出した俺に友達の声が聞こえてくる。



「ごめん!俺、用事思い出したから帰るわっ」



一瞬だけ後ろを振り向いて友達にそう言い



俺は、またすぐに走りだした。