やさしそうな悠の母親は
悠の仏壇を優しく見つめ
生前の悠の話を始めた

悠は交通事故で
亡くなったらしく
あっという間の
別れだったらしい

一度は持ち直したかに
見えた心臓は
最後にサヨナラを言う為に
動かしたんだと
悠の母親は言った

人の死際には
不思議な事が
起こることが多々ある

看護師として働くあたしは
それを知っている

身内の死なら
なおさら起こりえる
事だろう・・・

あたしは母親に
悠の部屋を
見せてもらった

「ベッドの上の
 引き出しの中に
 シルバーのチェーンが
 入ってるから
 それを見つけて・・・」

悠の母親は
部屋の中を見回し・・・

「何か使える物があったら
 形見分けとして
 もらってあげて・・・
 悠もきっと
 喜ぶと思うから・・・」

あたしはすかさず

「悠君があたしに
 くれるって言ってた
 ネックレスがいいです・・・」

と言った・・・