お腹が減った。なにか食べ物が欲しい。
ひたすらそう願っていた。
そんなときにであったのが、あなただったんです。

* * * *

道端にぽつぽつと並ぶねこじゃらしを見ながら、ただただぼーっとしていた。
あれから百合さんが帰ってきて、あたしは考えていた通り外に出てねこじゃらしを眺めている。外にでたら案外簡単に見つけられて、それからはひたすら眺め続けている。たまに通る通行人に変な目で見られたりもするけれど、そんなこと気にする必要はないのでなにかこそこそ言われても無視。
「………ねこじゃらし、かぁ………」
ゆいのは、なんの気持ちを込めてこのねこじゃらしの花束をあたしに渡したんだろう。
‐にゃ…………
ふと、どこかでか細い猫の鳴き声がした。…気がする。